【普通にネタバレしますので映画未見の人は気をつけてください】

映画「OLD」期待の100倍くらい面白かった〜〜
超スピードで老化する激ヤバビーチの設定だけでも面白いのに泣けるドラマまであってお腹いっぱい、個人的には大満足でした。
あらすじや結末はみんな知ってると思うので、面白いと思ったところや小ネタなんかを紹介していきたいと思います。
面白かったところ
面白かったところは色々あるんですが、まず「常人の17280倍の速さで老化してしまう空間」という設定が面白いですね。わざわざ計算してしまいました。
老衰が迫ってくる恐怖というのは、エイリアンに殺されるとか激ヤバマジキチ狂人に狙われるといった運が悪かった系の怖さとはまた違った独特の怖さがありますね。
スティーブ・ジョブズの名言に「今日が人生最期の日だと思って過ごしなさい」というものがありますが、本当に今日が人生最期の日になってしまうのがこの映画です。
今日で命が尽きると分かった時、人はどうするのか。
老化ビーチは肉体だけでなく精神にも作用します。
子供だったトレントとカーラがいきなり性に目覚め、出会って4秒で合体→即出産!というAVでも見たことない光景もなかなか興味深かったですが、何より面白いというか見どころはガイ家の家族ドラマだと思います。
リスクコンサルの夫は常に未来を見ていました。博物館学芸員である妻は常に過去を見ていました。腫瘍を抱える彼女には目を向ける未来がないからです。
見据える方向が違う夫妻は当然ながらすれ違い、その関係は離婚寸前にいくほど壊れてしまっています。
しかし老化ビーチに閉じ込められ、老いていく自分の体力ではもう脱出は無理だと悟った時、優しい笑みを浮かべ「今君の隣にいることが幸せだ」と「今」に目を向けるようになります。
ガイは妻の不倫について「忘れてしまった」と笑っていましたが多分忘れてないでしょう。それでも「過去を水に流し今妻の隣にいる」ことを選び、夫婦寄り添いながら、家族に看取られ穏やかな最期を迎えます。
正直このシーンはグッときましたし、間違いなくここがこの映画の一番の見どころでしょう。
スリラー映画を見にきたはずなのに、こんなに泣かされるなんて、、、嬉しいサプライズでした。
サブキャラの死に方も老化ビーチ独特の最悪な死に方をしていて大変よかったです。私は人間食べ食べカエル氏のこのツイートを見てこの映画を見にいくと決めたので、
『オールド』居るだけで超速老化する超ヤバいビーチから出られなくなる!!この設定一本で最後まで引っ張る構成力が見事ですよ。人が凄い勢いで老いていく事で発生する、あらゆる二次被害が恐ろしくてたまらない。この死に方はしたくないオブジイヤー2021の暫定1位が更新されました。 pic.twitter.com/CuHKWf9BBh
— 人間食べ食べカエル (@TABECHAUYO) August 27, 2021
クリスタル(自撮り妻)の骨が曲がる病気に回復が追いつかずあり得ない方向に曲がったまま骨が固定されてボキボキ骨フラワー状態で絶命するのが見れただけでも大変満足しています。
ここはこうだったらよかったのに!
大変面白くて大満足なんですが、ここはこうだったらよかったのになーと思うこともあります。
やはりなんと言ってもこの映画の一番盛り上がるところはガイ夫婦の最期のシーンだと思っています。
あのエモーショナルな雰囲気のまま終わってくれたら気持ちよかったのですが、あの後の脱出→種明かしパートがあるせいでちょっと興醒めな感じになってしまったことは否めないでしょう。製薬会社のくだりとか、あるあるだし特に面白さもなく、完全に蛇足だったと思います。
謎は謎のままにしておいて、家族ドラマに焦点を当てた終わり方にした方が物語として美しいと思うのですが皆さんどう思われますでしょうか。
他にも、「髪や爪は死んだ細胞であるため老化ビーチの影響を受けない」とされていたにも関わらず、死んだ細胞の塊である死体が秒で白骨化していたのはなんでだよとか、後から粗探しすれば雑な設定はいっぱい出てくるんですが観ている最中はそんなこと気にならないくらい面白かったのでまあOKです。
小ネタ
ちょっとした小ネタ
・リゾート「ANAMIKA」の意味
アンミカみたいなリゾート「アナミカ」。
意味ありげに何度も名前が映されていましたが、ANAMIKAは「名前のない/名の知らない」という意味です。
・ガイの妻プリスカの名前の意味
腫瘍があり未来のないことから過去に目を向けがちなプリスカ。
彼女が過去を重視する人物であることは博物館学芸員という設定にもあわられていますが、名前のプリスカはラテン語で「古代の」という意味を持ちます。
芸が細かいですね。
・ホテルの修復
序盤の方で、ホテルが修復工事されているシーンがあります。
終盤の支配人とビーチ監視員の電話で「前みたいな問題が起きると困る」と言われていたことから、前にも脱走者がいて、ホテルに戻ってきて暴れたと考えられます。
その後もホテルが普通に営業していることを考えると、前の脱走者は殺されてしまったのでしょう。
今回は運よく客に警察官がいたため、トレントとマドックス姉弟は殺されずに済みました。
・監督がガッツリ出演
エンドクレジットを見ればわかりますが、シャマラン監督が送迎のおっちゃん兼監視員の役で結構ガッツリ出演し、セリフもまあまあありました。
この監督の映画は初めてだったし顔も知らなかったのですが、映画に上映前の挨拶みたいなのをつけることで、私のようなニワカでも「監督おるやんwww」 と気づくことができる親切設計になっていました。
トレントが「名前と職業は?」と訊いて、監督がニヤッとする演出はこっちまでニヤッとなったし、まさかこれやりたいがためだけにホテルでの「名前と職業は?」のくだりを入れたのかよと思っていたら最後にちゃっかり回収してくるところも上手いなと感心しました。
・元ネタがある
なんとこのお話には元ネタがあります。
「Sand Castle」という本が原作であり、原作とOLDでは話のオチや設定が結構違うらしいです。
原本はフランス語だが、英語版ならあった。読んでみようかな。
・キャスト
エロかわいすぎると全俺の中で話題沸騰中のマドックス(青年期)は「ジョジョ・ラビット」のあの子でございます。
はーキャワゆ。キャワゆんゆん♡
トレント(青年期)が「ヘレディタリー/継承」の可哀想すぎる兄貴(アレックス・ウルフ)であることは周知のことであるかと思いますが、なんと「OLD」にはもう一人、ヘレディタリーから継承されているキャストがいます。それはなんと、クレイジー開業医の母でありクリスタルの義母であるアグネス。
なんとこのお方、ヘレディタリーの超黒幕おばあちゃんエレン・リーです。
やはりどこまで行っても地獄の王ペイモンとは縁の切れないアレックス・ウルフであった・・・
まとめると、シャマラン監督の「OLD」めちゃくちゃ面白かったです!
シャマラン監督、他にも「ミスター・ガラス」「スプリット」などシャマランユニバースなる映画が何個かあるらしいのでこれから見ていこうと思います。
(Prime Videoで300円レンタルでした↓)

ミスター・ガラス (字幕版)